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工事進行基準

工事進行基準と帳票の親密な関係とは?

2009年4月1日から、システム開発に関わる取引の会計基準にも、原則的に「工事進行基準」が適用されることになりました。工事進行基準とは、用語解説にもあるとおり「決算時に工事の進捗度を見積り、その進捗度に応じた収益を計上する収益認識基準」のことです(表参照)。プロジェクト完遂時に、一気に収益を計上する「工事完成基準」に対し、企業実体をより正確に把握できる会計基準とされています。

工事進行基準_表

この工事進行基準のポイントとなるのは、事前に「収益」が確定し「原価(コスト)」の見積もりや「進捗」の算定が正確であることです。「進捗」の算定には、原価比例法が多く使われます。これは「決算期における原価累計額」の「プロジェクトの原価総額」に対する割合により進捗率を計算する方法です。

工事進行基準対応の鍵は「帳票」にあり

ここで問題を整理しておきましょう。まず最大の課題となるのは、ソフトウェア開発における「仕様不確定」という厳然たる事実です。プロジェクト開始後の仕様変更は当たり前となっており、それに応じて開発の進み具合もコストも納期も変わるのが実情です。このような状況では、事前に原価の見積もりを正確に行うことや正確な進捗を算定することは、極めて難しくなります。

次の課題としては、どうしても「工事進行基準の対象とはならない」プロジェクトを判定する明確なルールや、契約の変更が必要となる場合の処理方法、あるいはプロジェクト原価管理の方法など、案件の管理方法についての問題があげられます。

これにどう対応していけばいいのでしょうか。豆蔵では、第1の課題に対しては「技術的な対応」が、第2の課題に対しては「制度的な対応」が重要であると考えています。

工事進行基準における技術的な対応とは

「仕様不確定」への対策は、大きく2つに分けられます。1つは、作業をスケジュールどおり進め、進捗を的確に把握するための「開発プロセス」や「プロジェクト管理技術」を確立させること。もう1つは、仕様の不確定要素を吸収し、正確な機能要件を見積もるために、高機能なパッケージソフトを活用することです。

特に仕様変更が激しいのは、機能面よりも、画面や帳票設計などデータをインプット/アウトプットする部分です。特に帳票は、法改正やプリンタの変更、出力要件など複雑な要素が絡み合い、仕様が最後まで決まらないものです。一度決定しても、土壇場で変更するケースもあります。こうした実情に対応するため、柔軟かつ迅速に帳票を設計し、あらゆる出力要件に対応する帳票システムの採用が重要になるのです。

工事進行基準における制度的な対応とは 

制度対応としては、まず工事進行基準の対象となるプロジェクトの単位を識別することが必要になります。工事進行基準の対象となるプロジェクトは、契約によって決まるものとは限りません。○○システム開発プロジェクトについてフェーズごと契約がなされていたとしても、進行基準の対象となるプロジェクトは「実質取引単位」としての○○システムという「取引」になる場合があるわけです。また契約の種類も請負契約に限るものではなく準委任契約でも対象になります。

次に「実質取引単位」に対して、計上期ごとの進捗と売上を算定していく原価管理の制度が必要になります。このようなプロジェクト単位の認識や原価管理には、当然、会社の管理形態にあわせた管理帳票が必要になります。

さらに、個別のプロジェクトごとの管理ばかりでなく、会計期ごとに事業部や全社という単位での売上管理帳票を作成しなければなりません。事業部や全社という単位で考えますと、普通は複数のプロジェクトを並行して進めているので、その全部の収益・原価・進捗という情報を集約し、会計期ごとに売上を算定する必要があります。

これに対応する策は2つあります。1つは、各プロジェクトで管理しているデータを高速集計するシステムの構築。もう1つは、集計サーバから、プロジェクト・会計期ごとの帳票を作成し、出力する帳票システムの導入です。倍増する帳票類を迅速に作成するには、個別プログラムで対応するのではなく、専用の帳票システムを導入しなければ、2009年4月期には間に合わないでしょう。

いずれのケースも、帳票が大きなポイントであることは間違いありません。高機能かつ柔軟な帳票システムを利用することが、工事進行基準へスムーズに対応する鍵なのです。

解説
株式会社豆蔵
IT戦略支援事業部
事業開発ユニット
リーダー  久保田圭子氏
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